【連載】二日酔いピカレスク ~アルコールに咲く徒花②~
タケシの嫁さん<前半>
いつものメンツ+2。
今日も私とヒロ、そして違うのは同じく幼なじみのタケシ、そして我々とは初対面の彼の婚約者が一緒だったことである。
4人で呑んで、2件目の流れ。
外に出て顔を上げると、左斜め前にチャリンコに載ろうとしている1人の女性が。
と、彼女のお尻のあたりから何かが落ちた。
「ドサッ」
財布である。
その瞬間、私は無意識にダッシュしていた。
もちろん財布を盗むためではない。
絶好のチャンスを得たからだ。
「すみません!財布落としましたよ!」
「あ!気づきませんでしたありがとうございます!」
(・・・フツーにかわいい)
見るとチャリンコのカゴには野菜がいっぱい。
どうやら近所の方のようだ(まあチャリンコの時点で遠いはずないのだが)。
「野菜買いまくってますねー。このあたりにお住まいなんですかー?」
「フフフ。そうですよー。」
感触は悪くない。
「あのぅ、僕らいま4人で飲んでるんですけど、よかったら一緒にどうですか?」
「えー今からですかー?うーん。。。」
これはいける。直感がそう告げた。押せ。
「あ!女性もいるんで安心してください!」
「えーそしたら悪いですよー。」
「あ、いえ、全然そんなん(どんなん?)じゃないんで気にしなくて大丈夫です!」
「えーっとそしたら1杯だけ行こうかしら。」
ゲトゥー!ゲットゥー!
ナンパの神様どうもありがとう。
しかしこれから起こる波乱を、この時点で誰が予想しえただろうか。